お伊勢参りの旅人の体と心を満たした餅菓子。
それが玉𠮷餅店の原点です。
神仏のお供えに。ハレの日に。四季の節目に。
日本人が、ここぞという時に食べる餅を、
ひたむきに、ていねいに、つくり続ける。
それが和菓子屋でもまんじゅう屋でもない、
餅屋の使命だと考えます。
玉𠮷餅店の餅は、すぐに硬くなります。
何日経っても柔らかい餅なんて、
本物の餅ではないと思うからです。
ほんのひとさじの砂糖を加えても、
餅本来の味と風味は損なわれてしまいます。
合成の添加物ならなおさらです。
だから私たちは、いくら世の中が求めても、
「硬くならない餅」はつくりません。
玉𠮷餅店では、主に地元三重県産のもち米を使い、
大きな重い杵でドシンドシンとついて、
餅をつくっています。
この土地で育ったもち米が、この土地の水に合い、
この地域の人々の口にも合うからです。
そして、
伊勢参りの旅人をもてなした
津の郷土菓子「けいらん」。
北勢地方に伝わる、
もち米とうるち米を混ぜてついた「たがね」。
「たがね」を焼いて甘辛のタレをからめた「やじろ」。
そんな、地域の文化が宿る餅を、
玉𠮷餅店はつくり続けていきたいと思います。